宗教改革の精神 2019 5 18

 両国国技館に近くには、江戸東京博物館があります。
私は、この博物館に10年以上前に行ったことがありますが、
「江戸時代の博物館だろう」と思っていたところ、
意外な展示物があって、印象に残っています。
 それは、「フォードT型」の自動車が展示してあったことです。
フォードT型は、世界で累計1,500万台以上生産され、
交通革命どころか「産業革命」も引き起こしたと言われます。
 ヘンリー・フォードは、安価な自動車を生産しながらも、
労働者の高賃金を維持する「フォーディズム」の創始者です。
 フォード氏の経営は、「日給5ドル」革命が有名でしょう。
以下は、ウィキペディアから引用です。
 1914年、日給5ドルを提示し、従来の賃金のほぼ2倍として世界を驚かせた。
オハイオ州クリーブランドの新聞は、この発表について、
「この不況下の暗雲を突き抜けて目をくらませるようなロケットを放った」と評した。
 給料が増えた労働者は、自分達が作っている自動車を購入できるようになり、
経済的にも、よい波及効果をもたらした。
(引用、以上)
 当時、自動車は、金持ちの乗り物だったでしょうが、
フォード氏の革命によって、庶民の乗り物となったのです。
 フォード氏は、巨額の資産を築きましたが、
遺産のほとんどを「フォード財団」に遺しました。
 フォード財団は、すべての人間には「内在的な尊厳」があると考えており、
「貧困と不公正を減らし、民主主義の価値を増進させ、
国際協調を推進し、人類の偉業を進めなければならない」と考えている。
(ウィキペディアから引用)
 かつて、キリスト教世界では、
「富者は、天国に入れない」とされていました。
「富んでいる者が神の国に入るよりは、
ラクダが針の穴を通る方が、もっとやさしい」
(マタイによる福音書)
 そのため、キリスト教の宗派によっては、
「清貧の誓い」を立てる宗派があるのです。
 しかし、ツヴィングリやカルヴァンによる宗教改革によって、
大きく流れが変わるのです。
 勤勉な労働がもたらす富は、神が認めたものであり、
信仰が繁栄を約束するというという「繁栄の神学」につながるのです。
 このような考え方は、キリスト教主流派からは批判が多いでしょうが、
もし、ツヴィングリやカルヴァンが出現しなかったら、
欧米社会は、いまだに貧しいままだったでしょう。
 「修正キリスト教」には大きな批判があるでしょうが、
キリスト教と資本主義の共存共栄を考えなければならないのです。
 もちろん、当初のキリスト教の教えに従って、
「清貧の誓い」を立てるのは正しい。
 一方で、神の法を守り、信仰を堅持する者には、
繁栄がやってくると考えるのも正しい。
アメリカの繁栄は、宗教改革の精神を体現しているでしょう。





























































































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